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コラム 解説

増殖・成長する積層欠陥とMOSFETの特性劣化 (3)
〜 基底面転位ループのバリエーション 〜

連載 (1)図1-6では基底面転位のすべり面の構造には2種類あります、という話をしました。そして同じバーガース・ベクトルの基底面転位ループも、のっているすべり面が異なると転位ループの構造の違いがあり、転位ループの内側の部分転位と外側の部分転位が入れ替わっていることが図3-3からわかりました。この入れ替りは、図3-4のように説明することもできます。図3-4(a)はA’層でのb=1/3[1120]の基底面完全転位による変位pからp’を示します。この変位は黒矢印です。四面体A’の底面は、左側の[1100]方向に頂角を持ち右側の[1100]方向に底面を持つグレーの三角形で示されます。この四面体層での変位はまずpからqへ変位します。qは座りの良い局所安定位置です。この局所安定位置への変位によりC-siteの四面体により構成される積層欠陥がA’層中に現れます。この変位は部分転位b=1/3[0110]による変位です。次にqからp’へ変位します。この変位は部分転位b=1/3[1010]による変位です。変位は2段階のプロセスを経て完結します。一方、A層でのb=1/3[1120]の基底面完全転位による変位を図3-4 (b)に示します。A層の底面の三角形の向きはA’層の場合とは逆向きのグレーの三角形です。左側の[1100]方向に底面を持ち右側の[1100]方向に頂角を持つグレーの三角形です。まずpからrへの変位が起こります。この変位によりB‘-siteの四面体により構成される積層欠陥がA層中に出現します。次にrからp’への変位が発生します。A’層とA層では、発生する変位の順番が逆になっています。このことが図3-3で、内側の部分転位ループと外側の転位ループが入れ替わっていることの説明です。

図3-4(a) 黒矢印pp’はA’層でのb=1/3[1120]の基底面完全転位による変位。(b) 黒矢印pp’はA層でのb=1/3[1120]の基底面完全転位による変位。赤矢印pq またはrp’はb=1/3[0110]の変位。青矢印qp‘またはprはb=1/3[1010]の変位。

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