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コラム 解説

SiCのフランク型積層欠陥 (3)
〜 4H-SiCの欠損したフランク型積層欠陥 〜

フランク型積層欠陥とは

この連載記事は、半導体中の格子欠陥の解析評価に興味を持つ人を対象にして書いています。フランク型積層欠陥の構造について考察し、この積層欠陥の構造について整理することがこの連載の目的です。前回ではSiCの積層構造での、積層の表記のルール、ショックレー変位の表記のルールについて説明しました。今回は、この表記法を用いて、フランク型積層欠陥の構造について考察します。

図3-1 (a) 格子欠陥が無い完全結晶の4H-SiC結晶から、四面体層つまり(0004)面が1枚欠損しているフランク型積層欠陥。(b) (0004)面が1枚余剰に挿入されているフランク型積層欠陥。

ショックレー型積層欠陥では、積層欠陥の変位ベクトルと積層欠陥の縁に存在するショックレー型部分転位のバーガース・ベクトルは基底面上にのっていました。フランク型積層欠陥の変位ベクトルとフランク型積層欠陥の縁に存在するフランク型部分転位のバーガース・ベクトルは基底面から飛び出ています。

図3-1 にフランク型積層欠陥を示します。4H-SiC結晶から四面体層が1枚欠損した状態と、1枚余分に導入された状態を示しています。この連載では、四面体層が1枚欠損したフランク型積層欠陥を便宜上、欠損したフランク型積層欠陥、四面体層が1枚余剰に挿入されたフランク型積層欠陥を余剰なフランク型積層欠陥と呼ぶことにします。通常のFCC結晶では空孔型(intrinsic type)や格子間原子型(extrinsic type)フランク型積層欠陥と呼ばれているようですが、4H-SiCでは、空孔や格子間原子という言葉はあまり適切ではないと思い、便宜上このような呼び名にします。フランク型積層欠陥の縁にはフランク型部分転位が存在します。最初に、図3-1 (a)の欠損したフランク型積層欠陥に注目して欠損したフランク型積層欠陥とフランク型部分転位について、この回では考察します。

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