図7-2の赤文字は新たに余剰に挿入された四面体層。緑文字はショックレー変位した四面体層。積層欠陥の作成の仕方を便宜上示す名前もつけています。新しく挿入された四面体層の位置が異なり、挿入層のアルファベット・ノーテンションの違いや、ショックレー変位の違いにより、それぞれ12種類の異なるフランク型部分転位のコア構造があることがわかります。これらの12種類の異なるフランク型部分転位は断面のコア構造をSTEMで撮影すると分離することができるかもしれませんし、毎度述べていますが、リコンストラクションを起こしていて区別をつけることは困難かもしれません。
今までと同じように、積層欠陥をまたいだ積層の順番を見ると、次の4種類の積層の構造に分類されます。
(j)=(n)=(q)=(r),
(k)=(l)=(p)=(t),
(i)=(s),
(o)=(m)。
Zhadanovの表記法で示すと、
(j),(n),(q),(r),(k),(l),(p),(t),は、2,2,3,2,2,….と示すことができて、
(i),(s),(o),(m) は、2,2,1,1,1,2,2,….と示すことができます。
STEMやTEMで積層欠陥の断面を撮影して、2,2,3,2,2,….や2,2,1,1,1,2,2,….が現れると、それはショックレー変位付きの余剰フランク型積層欠陥かもしれません。また、これらの…,3,….や、….1,1,1,…,がPLスペクトルに特徴的な形状のピークを示すと推察されます。毎度同じ話ですが、[1120]方向から積層欠陥の周りの構造を見ると(j)=(n)=(q)=(r)と、(k)=(l)=(p)=(t)は互いに映進対称の関係になっています。また、(i)=(s)と(o)=(m)も互いに映進対称の関係になっています。これは欠陥の無い大元の結晶に、c映進対称が存在していることに起因しています。これらの積層の模式図を図7-3、図7-4に示します。
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